なにかと誤解の多い列車見張員という職務について

列車見張員とは? 列車見張員

列車見張員という職種(資格)をご存知ですか?

本記事をご覧になっていらっしゃる時点で、大凡の皆さんは列車見張員(通称、列見れつみ)についてご存知だと思われます。
当然、現役の列車見張員の方も多くご覧になっているかと存じます。

では、質問です。
列車見張員は、警備員でしょうか?

答えは、違います
警備員ではございません。

列車見張員は民間資格の一つで、営業線近接工事保安関係標準示方書で定められた保安要員の一種となります。
有資格者の多くは、工事請負業者や警備会社の一部就業者に限られます。

民営鉄道(民鉄)でも有効な資格となりますが、大手私鉄では独自の列車見張員や列車監視員等の資格を発行している場合もあります。

一部の民鉄独自の列見や列監視と異なり、JRの列見資格の有効期限は一年間と、ごく短期間に限定され、1ヶ年毎に更新講習が必要となりますから現役の営業線近接工事(営近工事)関係者以外、列見資格を所持している物は殆どいません。

この極端に限定的な民間資格である列車見張員という職務は、限定的であるが故に、大きく誤解されがちです。
列見資格を知らない方は勿論、鉄道工事関連者やその従事者、そして、当事者であるはずの列車見張員当人さえ、誤解・勘違いをしている方が多くいらっしゃいます。

その一例が、冒頭においてご質問させて戴いた「列車見張員は警備員であるか否か」です。
既に回答済みですが、列見は警備員ではありません

実は「列見は警備員であるか否か」という質問に引っ掛かる、あるいは考え込んでしまう方とは、警備員、即ち警備就業者や警備業者のみに限定されます。

同じく列見の有資格者であっても、工事請負業者(主に軌道屋や電気屋)や人材派遣会社(列見有資格者派遣)の就業者は、上述の質問への正解率は100%となります。
この質問に不正解となる可能性があるのは、警備員の皆さんだけなのです。

警備員をA、列見をBとします。
警備員及び警備業関連者の場合、列見資格者は「B⊂A」となります。この為、近視眼的に「A∪B」と見なし、勘違いして拡大解釈してします。実際には、列見資格を持つ警備員は「A∩B」のみになります。

警備員が独占して列見資格を取得できる条件ではなく、列見資格者の中に警備員による有資格者が存在する、というのが正しくなります。
従って、列見は警備員ではないが、警備員の中に列見資格者もおり、列見業務に就く警備員も存在する、となります。

列見業務と警備業務は全く違います
列見業務は鉄道営近工事における保安業務の一種です。
鉄道営近工事における保安業務としての警備業務は、交通整理員(営業線工事保安関係標準仕様書に規定された警備員の呼称)の任務となります。

なぜ、このような列見に関します誤解にまつわる内容を記事として取り上げたかと申しますと、ネット上に誤った情報が散佚して見られた為です。
個人による誤解・勘違い・思い違いによる回答だけであれば大した問題ではありませんが、驚くことに警備会社でさえ列見を誤認し、法人サイトでこれを掲載・公開しているケースも見られた為、本件に関しまして明示しておきたく寄稿するに至りました。

度々見られる誤解の中で多いのが『列見業務は1号業務』 と見なす勘違いしたケースです。
恐らく、駅鉄道施設に関する保安業務の一種であることから、警備業法における施設警備である1号業務と誤認したか、あるいは駅舎の1号業務を受託した警備会社が個別の受託要件項として列見資格取得義務の有無を勘違いしたことによる思い違いだと思われます。

列車見張員による列見業務は、専任業務です。
従って、列見業務に従事した場合、他業務との兼業は禁じられます。
つまり、旅客案内や交通誘導、作業ほか、列見業務以外の一切の他業務に携わることはできません。少なくとも、列見業務として立哨中の場合、禁止となります。

この点を理解しておけば、列見、少なくとも列見業務として配置なされた者が警備員ではないことが一目瞭然であり、この点において思い違いや疑義が生じるようなことはないかと存じます。

列見に限らず所有している資格というものは、特定の業務に従事する際に必要な条件を指し、その効果は該当する業務を遂行する時、効果を発揮します。
つまり、列見資格は、列見業務に従事する時(列見専任業務ほか)、初めてその専門職において効果を発揮し、列見業務に従事していない時は保有資格の一つでしかありません
特に列見資格は、民間資格ですから認定先(発行元)の請負業務のルール下においてのみ効果を得ます。即ち、列見業務に従事する当日の指揮命令系統下においてのみ、就業するものになります。

鉄道工事においては、必ず保安打合せ票が日々定まっており、指揮命令系統図が作成されます。
列見業務に従事する列見は、必ずこの指揮命令系統に準じますから、列見がどの保安要員として配置されているか明確なものとります。
この保安打合せ票や指揮命令系統図の中には、警備員の“ケの字”も入っておりません(※5)。

鉄道工事関連の業務において“警備員”の文字は、踏切警備員くらいなもので、この踏切警備員は列見資格を所持する者のみが従事できます。
そして、この踏切警備員は、警備員でなくても就業可能です(列見資格所有者が就業条件)。

1号業務である施設警備員が従事するのは、あくまでも鉄道工事ならざる駅舎や駅関連施設内の保安業務に限ったものであり、列見資格は不要です。
こちらの場合、駅施設の常駐保安業務としての受諾案件であり、鉄道工事における保安業務の受諾案件ではありません。
列見はあくまでも、鉄道工事(営業線工事保安関係標準仕様書に規定)に関する保安業務用の資格であると共に、その要件を満たす為に必要な条件となります。

お分かり戴けましたでしょうか?

警備員と列車見張員は全く異なる業務であり、その理由は受諾案件そのものの違いであると共に、業務内容とその種別において全く異なるものなのです。
なぜ、これ程、明確な相違があるにも関わらず、列見を警備員と見なしてしまう、もしくは、列見業務を1号業務と誤認してしまうのか?

ひとえに、勉強不足に尽きます。

列車見張員の資格を持っている方は勿論、これから列見資格を取得してみようと考えている方、そして何より、警備会社に就業する警備員であり、且つ列見資格を所有していらっしゃる皆さんはぜひ、この辺り誤解ないよう、お気をつけください。

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